先日↓のようなやりとりをtwitter上でしたのですが、

若手起業家の資金調達に関する議論 – Togetter

勉強しろ!というからにはどの程度分かってりゃいいの?ってのにも応えないとかなとも思ったので、少なくともこれくらいは理解しておいたほうがいいよーっていう観点で少しまとめてみることにします。

まずは財務諸表をちゃんと理解してる?

財務諸表の中でも貸借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)、キャッシュフロー計算書(C/F)は基本なので、まずはここから。
それぞれがどういうものかですが、Wikipediaによると

貸借対照表(B/S):
貸借対照表は、企業のある一定時点における資産、負債、純資産の状態を表すために複式簿記と呼ばれる手法により損益計算書などと同時に作成され、その企業の株主、債権者その他利害関係者に経営状態に関する情報を提供する。 〜 Wikipediaより

損益計算書(P/L):
損益計算書は、財務諸表の1つである。企業のある一定期間における収益と費用の状態を表すために、複式簿記と呼ばれる手法により貸借対照表などと同時に作成され、その企業の株主や債権者などに経営成績に関する情報を提供する。 〜 Wikipediaより

キャッシュフロー計算書(C/F):
キャッシュ・フロー計算書は企業会計について報告する財務諸表の1つである。このC/Fは会計期間における資金(現金及び現金同等物)の増減、つまり収入と支出(キャッシュ・フローの状況)を営業活動・投資活動・財務活動ごとに区分して表示する。 〜 Wikipideiaより

文章だけ読んでも、よく分かんないですね。
B/Sですが、左側に会社で持っている資産を、右側には負債と資本をどれだけ調達したかで整理するもので、図で書くとこんな感じで右と左が同じ大きさになってバランスするからバランスシートというわけですね。
BS
P/Lというのは一定期間における成績表みたいなもので、売上とそれにかかった費用がいくらで利益がどれだけでしたよってもの。
C/Fというのは実際に入出金を管理するためのもので、スタートアップにとっては実はこれが一番大事と言ってもいいかもしれません。

B/SとP/Lを足し算してみよう

ここから先は僕がよくスタートアップの事業計画作成のアドバイスをするために説明している話なんですが、この話をしたほうがどのような資金調達がそれぞれの事業にとって良いのかというのも合わせて理解しやすいかなと思うので、使ってみます。
P/Lには左右の概念はないのですが、単純化すれば売上と費用で分けられるので、これを右側に売上を、左側に費用を単純に足し算するとこのような図になります。
BS+PL
利益(あるいは損失)は資本の部に計上されるので、B/Sの資本の部分に重なってる感じになります。
で、ここからがこの図をどのように考えるかってところなんですが、まずは左側の部分。
Left Side
事業を運営していくのに必要な「資産」と「費用」を何にどれだけ使ったかということで、つまりは売上を作るために何をやったかということですね。
続いて右側の部分になるのですが、
Right Side
先程の「資産」と「費用」を入手するためにどのような手段で調達したかというもので、それが「売上」「負債」「資本」で構成されているということが分かると思います。
つまり、「資産」と「費用」をどのように入手するかというのを決めるのが事業計画で、その遂行に必要な資金調達手段は「自分で稼いでくる(売り上げる)」か「他人から調達する(借り入れるか出資してもらう)」かであるということです。
資本政策の話や、資金調達手段の是非をどうのこうの言う前に、まずは事業計画がなければ、どれ良いか悪いかなんて言えないはずというのが、この図で考えると一発で理解できるのではないでしょうか?

では、どんな事業がどの調達手段に向いているの?

必ずしも正解はないと思いますが、スタートアップが創業直後の場合とするとこんなイメージになると思います。

  • 売上
  • 借入をせずに最低限の資本金のみで売上のみでいくということになるので、当然に資産や費用は必要以上に大きく出来ないということになります。
    しかし商売の本質としては元手をかけずに稼ぐというのは非常に大事なことで、昔からよく言われる基本の「安く仕入れて高く売る」「在庫しない」「人件費・経費をかけない」でやれるモデルもいくらでもあると思います。
    古くからあるものでは人材系のビジネスは元手がかからないモデルですし、コンサルや受託開発もですね。
    最近こんな記事を読んだのですが、受託開発でも新しいビジネスのやり方で急成長を目指すことが可能なのかもと思います。
    また、前に僕らのイベントに出てくれたときにnanapiのけんすうが話してくれた受託開発の話も、優秀なディレクターとプログラマであれば受託案件を利益率高く受託できるので、その収益を自社サービスに突っ込みながら起ち上げるというやり方もあります。

  • 借入
  • 借入というのは通常売上の見込みが経っていて将来的な返済計画が問題ないと判断された場合に金融機関が貸し出しをするものですが、制度融資を活用すれば低金利かつ信用力のない創業期であっても借り入れることは可能です。
    このあたりで調べてみると良いと思います。)
    とはいっても、インターネットやスマートフォンのサービスで当初はビジネスモデルが確立しておらずユーザー獲得を優先していくようなモデルにはあまり向いていないと思います。
    店舗の開業資金や既存に存在しているビジネスへの新規参入で当初計画がかなり精緻なものなどが向いているんでしょうね。
    何れにせよ、返済義務はあるので借手としてその責任をきちんと理解しない限りは手を出すべきではないです。

  • 出資
  • そもそも不確実性が高い事業というものは、最初から売上も立たないでしょうし、借入を利用するのも難しいでしょう。
    そういった不確実性が高い事業の中でも、将来の成長性が見込めて急成長が期待できる場合にのみ、投資家からの出資が期待できます。
    どのような事業が向いてる向いていないというよりも、売上も駄目で借入も難しい場合に初めて出資による調達のはずです。
    初期の費用を出資して提供するアクセラレーター等が最近増えたこともあり、若干誤解もあるかなと思いますが、出資というのは投資家もプロとしてお金を出すので、基本的に調達の手段として借入よりもある意味では厳しい目で見られるということを理解すべきです。
    出資で調達するのが本来一番難しいはずであり、投資家の期待リターンも融資する(調達する方からすると借入する)よりも、ずっと高いものになる前提があります。

まとめ

ということで、まとめですが、調達手段を考えるときに実は一番大事なのは実は事業計画をつくることなんですね、やっぱり。
前にこちらのエントリで、事業計画を創業初期に一生懸命に書いてもその通りに行くわけないんだよね、でも大事なんだという話を書いてますが、必要資金を集めるとなればやはり何もなしで調達することはそれは出来ないわけです(笑)

具体的に何をやるかを考えることによって、事業のための「資産」と「費用」が見えてきて、それを手に入れるために「売上」でいけるのか?、「借入」はできそうなのか?、それも駄目だったら「出資」してもらうのか?という順番に考えるわけですよ。
それで、やっぱり「出資」してもらおうとなったならば、投資家はどういう事を求めているのか?ということはきちんと理解していなければなりません。
(投資家はこんなことを期待していますし、起業はそれに応えるべきですよねっていうのはこのあたりで。)

投資することによって資金を増やすことを投資家は生業としているので、当然に条件に関しては厳しい交渉が入りますが、一方でプロとしてやっている人ほど真剣に事業が成長することにコミットして色々なValueを提供してくれます。
起業家の立場からすると会社のシェアを渡すことになるわけですから、お金は出したけど何もしてくれない人よりも、口うるさく関与してくるけど事業に対して貢献してくれる人のほうがいいはずなので、自分の責任で投資家を選ぶべきですね。

このあたりのファイナンスと絡めた話も含めて、MOVIDAのSCHOLARSHIP生向けには事業計画作成のワークショップをやっていて、その内容からの抜粋でした。
参考までにその時のスライドも。



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