先週のMOVIDA SCHOOLはベンチャーユナイテッドの丸山さんでした。
ベンチャーユナイテッドはインターネット産業の立ち上がった頃にネットエイジとして投資事業を開始し、最近のIPO実績にもエニグモやアイスタイルライフネット生命*1などがあります。
今回、僕は福岡のSCHOOLから参加でLiveではなかったのですが、企業価値に関する話と投資家としてみているポイントについてのお話でした。

企業価値の考え方

まず知っておくべきこととして企業価値の評価方法は1つではない。
ざっくり言うと

企業価値=負債価値+株式価値

であるが、ベンチャーに関してはほぼ株式価値=企業価値と考えて良い。

結局、売り手と買い手が決めるものなので折り合ったところになるというのが前提になる。
企業価値を大まかに分けると、

  1. 上場企業の企業価値
  2. IPO時の企業価値
  3. M&A、の企業価値
  4. ベンチャー投資の企業価値
  5. その他(相続など)の企業価値

の5つで、当然ながら算定方法はそれぞれによって異なる。
ベンチャーにとって関係あるのは2〜4で、2と3は投資家にとってのExitに関わる企業価値で4は入口となる出資時点での企業価値。

IPO時の企業価値

まずIPO時の企業価値はどういう算定方法になるのかであるが、

申請期の税引後当期純利益(計画) x 類似上場企業の平均PER

で計算される。
後者の決め方が主幹事証券会社と決めることになるのだが、どこを類似企業とし選ぶかによっても変わってくるし、市況が悪いと当然にPERも低くなるので企業価値も上がらないという話。
市況の影響で上場を延期するという話も実際にある話でタイミングは重要。
とはいえ、IPOはあくまで資金調達の一手段でゴールではなく、IPO後の企業価値も高めていくことが大事であり、それを決めるのはその後の利益(EPS)なので、どう利益を成長させていくかをIPO前に考える必要がある。

M&A時の企業価値

次にM&A時の企業価値であるが、

直前期の利益◯年分(◯ヶ月分)+直近の純資産額

というのが一つの目安となる算定方法。
このような算定方法が提示されるのは結局のところ買収金額をどれくらいの期間で回収するかが買い手にとっての関心事であるため。
買収後の買い手によるvalue upは買い手企業の利益で売り手のものではないと考えられるから。
買い手からすると買収金額ののれんの償却も負担になっていて、買った会社の利益よりも償却額が大きくなってくるとPLにヒットしてしまうという問題もあるため、出来れば純資産で買いたいというのが本音である。

一方で売り手からすると、利益や純資産で測れない価値(例えばユーザーベースとか)があるのかがポイントになる。
例えばInstagramの場合、Facebookが10億ドルで買収した時点で3000万人以上がDL、Android版をリリースして初日で100万DL、iOSだけで1日あたりの写真投稿500万枚、累計で10億枚以上という数字であったがマネタイズの戦略はまったくなかった。
果たして、これが10分の1、100分の1の数字でマネタイズがなかったらどうか?
売上もない会社を買う場合、それは時間を買うという意味合いが強いということを意識したほうがよく、Instagramの例で言うとおそらく10分の1の規模で買ってもらえるかどうか、100分の1であれば見向きもされないだろう。
利益ベースで回収できるかどうかを考える傾向が特に日本では強く、無形の価値で買収してもらおうとすると、自分でやれるんじゃないかという規模のものは買ってもらえないと思ったほうがいいだろう。
M&AでのExitを考えるのであれば、本当に買い手がいるのかどうか、買い手がいるとして相手が価値を評価してもらえるような会社になっているのかが大事である。

ベンチャー投資の企業価値

それでは、ベンチャー投資の企業価値はどう決まるかであるが、

事業計画が実現して得られる企業価値 x 事業計画実現の確度

というのが一つの算定方法。
山登りでいうならば山頂の高さ(富士山なのか高尾山なのか)と山頂までの距離(1合目なのか、8合目なのか)。
どのくらいの売上規模になるのか、利益率はどうなるのか、主にこの2つを基準にIPO時やM&A時の企業価値の最大値を測る。
投資時点のValuationが高めるためには結局のところ投資家にとってのEXITイベントであるIPOやM&AのValuationが高める必要がある。

投資家であるVCの採算性を起業家も出資をお願いするのであれば意識したほうがよく、結局のところ投資時点よりも高い価格でExit出来なければVCも採算が成り立たないわけなので。

投資検討における5つの評価項目

投資検討に際して評価する項目は5つ。

  1. サービス/ビジネスに成長のポテンシャルがあるか
  2. トレンドから考えてビジネスが成長するかどうか、フォローウインドをうけることが出来るようなものであれば成長しやすい。
    いち早く取り組むことで先行者利得があり、やればやるほど成長することが出来る。
    とはいえ、早すぎても投資家に理解されないし、実際にユーザーも追いついて来れない。
    一歩先でも早すぎで、半歩先くらいを狙うのが良い。

  3. ユーザーに愛されてそれに広がりがあるのか
  4. これが実は一番大事な指標かもしれない。
    ユーザーに愛されているから成長するわけではないが、ユーザーに愛されていなくて成長したサービスはない。
    どういったシーンで使うサービスがが明確になっていなければならないし、それが新しい経験になっていて継続的に使ってもらえるようになってなければいけない。
    その上で、新しい発明(イノベーション)が加わっているのかが大事で、単にリアルに起こっていることをネットやスマホで置き換えるだけではなく、ユーザーにとって新しい何かがなければ使ってもらえないので。

  5. 経営チームはイケテルのか
  6. やりきれるチームなのか、成長を意識できるちーむなのか。
    ピボットしてもいいがとにかくやり切ることが出来なければならない。
    また起業家の器以上に会社は大きくならないので、起業家が大きなビジョンを持っていて、成長の段階に応じて変わっていけるかどうかが大事。

  7. 事業戦略は明確で納得出来るか
  8. 例えば調達した資金を何に使いますかの話のときに、オフィスに使いますとかは話にならないし、人を雇うにしても限られた経営資源を効率的に使っていくという視点で納得がいくような説明でないと駄目。
    山頂を目指す道筋をどのように説明するのか、投資家と話し合いながらで決めていくのでも構わないが、お互いが納得出来るようなところが必要。

  9. EXITをイメージでき投資採算は十分にあるのか
  10. IPOを目指す際の今後の資金調達を意識できるサービスやチームなのか?
    例えばアーリーステージで得た資金を使って戦っていくわけであるが、次の資金調達を意識して何をやっていくかが大事。
    Valuationに関して言うとあまり高くしすぎても次の資金調達やExitが難しくなるかもしれないので、投資時点できちんと投資家ときちんと折り合うべきと思う。

資本政策において大事なことは経営者のシェアにこだわり過ぎない、制約条件にしないことかもしれない。
企業価値10億の会社で7割持っているのか、1000億の会社の2割をもっているのか。
事業の成長のための資金調達を考えたときにどれだけ大胆に経営者が判断できるかが大事である。

*1 すみません、勘違いでした。丸山さんからご指摘頂きましたがアイスタイルさんは投資してなかったそうです。最近のIPO実績で言うとライフネット生命さんということで修正させていただきました!



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