さて、滞ってる昨年のMOVIDA SCHOOLのまとめですw セールスフォース日本投資責任者である倉林さんの回です。 倉林さんは、富士通、三井物産においてベンチャー投資業務に従事し、その後Warton MBAを取得。 シリコンバレーのベンチャーキャピタルであるGlobespan Capital Partnersを経て2011年からセールスフォース日本投資責任者として戦略投資を担当しています。 今回は倉林さんに「アメリカでの投資経験から考える、CVCとVCそれぞれの役割と価値」というテーマでお話して頂きました。

誰の投資を受けているか?

Benchmark CapitalのGeneral Partnerとして活躍しているMatt Cohlerはイエール大学を優秀な成績で卒業後、マッキンゼー、創業初期のLinkedInを経てFacebookに5番目の社員としてジョインし、会社の成長に大きく貢献したベンチャーキャピタリスト。 彼が過去に投資を行ったスタートアップは、DropboxやInstagram、Quora、Zendesk、Asanaなどがあり、個人としてもPathへの出資や、Couchsurfingの経営に関わっている。 ソーシャル系のイケてるサービスに多く出資しており、ソーシャル案件なら彼が第一人者と目されるようになっている。 このように、優秀なキャピタリストには経験に引き寄せられて自然と優秀なスタートアップが集まるようになるので、スタートアップとしてもその見極めが重要になる。 誰が出資してもらうかはスタートアップの成長要因の一つである。

日米VCの違い

米国ではVCとは、スタートアップの経営経験、得意とする業界の専門性、知識の豊富さ、人脈・人とのコミニュケーションスキル・ソーシャル力を兼ね揃えた人材だ。 ビジネススクールを出た後に一番優秀な人は就職ではなく起業するというキャリアを選び、その後VCになっていたりするが、スタートアップの経験なしにVCになることはほとんどない。 日本では金融系の大手VCに就職するとビジネス経験がなくても投資することができたりするなど、VCといっても日米ではかなり違いがある。

Due Diligenceの優先順位

スタートアップに対する投資判断の際の分析項目として、Market、Product/Technology、Business Model/Financial、Competitive Landscape、Team、そしてDeal/Exit Potentialの6つの項目がある。

    1. Market
    2. 6つの中でも一番大事なのはマーケットサイズ。 マーケットを一番に重要視する理由の一つとして、スタートアップの成長性がある。 スタートアップはより速く成長することが求められるが、マーケットサイズが大きいと一般的にグロースが速くなり伸びしろも満足に存在する。 また、マーケットが大きいため勝機を見出しやすいということも言える。 競合優位性がなくてもチャンスがあり、2番手3番手でも十分に上場できたりするので、起業家も投資家も幾分楽になる。 このように大きなマーケットを選択することは、成功の確度を高めるために必要不可欠である。 ※ シリコンバレーVCの祖父とも言われ、AppleやOracleなどに出資をしたSequoia Capitalの創業者であるDon Valentine氏が、スタンフォード大のMBA受講者向けに、『VCとは何か・ビッグマーケットを狙え』という講演をした映像がこちらである。ぜひみてほしい。

  1. Product/Technology
  2. どういう所に価値命題があるか、ValuePropositionはどこにあるか、どこがユニークで、どこがテクノロジー的に真似できない差別化ポイントなのか、これらを積み上げていくことがスタートアップには求められる。

  3. Business Model/Financial
  4. 製品ができていない時にも投資するのがシードやシリーズAのVCである。 ビジネスプランを出してもらっても正直そこまで意味はないので殆ど見ず、見るとしても直近の6ヶ月12ヶ月先のPLくらい。 米国では、ウェブサービスではなく、セキュリティやハードウェアなどのスタートアップもあり、このようなスタートアップの場合、プロダクトが生まれる前の段階では、これらの実現可能性を測るために、PhDや専門家に話を聞いてDue Deligenceを行う。

  5. Competitive Landscape
  6. 競合が生まれ、どう競いあっていくかはスタートアップの成長でも切っても切れない部分である。 市場ごとにシフトしていくこともあるので、競合だけを意識するのではなく、市場を含めた全体を見られる視野の広さそして大局観を持つ必要が求められる。

  7. Team
  8. 創業初期では、基本的にはチームにかけるしかない。 チーム自体が成功のための大切な要因になってくる。 基本的な経験があるかどうか(例:CEOが以前CEOをやったことがあるのかどうか)、市場ドメインは一致しているのかどうか(例:以前にその市場で何か他の仕事をやったことがあるのか)、会社の規模と人材があっているかどうか(例:どのステージの経営をやったことがあるのか)、などを複合的に見て、チームとしてバランスがとれているかどうかを判断する。

  9. Deal/Exit Potential
  10. 米国ではExitの9割がM&Aである。 VCのアソシエイトが、将来的に投資したスタートアップを売却できる可能性がある企業をリサーチしリストアップする。 その際には、どの企業がどういうマーケットに興味をもっているか、実際にどれくらいのキャッシュを持っているかなど、投資後のシナリオを意識して徹底的に調べ上げている。

オープンイノベーション

CVCがここ最近日本でも盛り上がってきている。 イノベーションは、たくさんの人が出会い交わることで発生するものだが、同じ組織のもと内部リソースだけではdisruptiveなイノベーションを起こしにくい。 ゆえに、知識や技術の探索、ノウハウの獲得が大企業にとっても必要になっていて、その手段としてベンチャー投資やM&Aがある。 M&Aよりリスクはなく、アライアンスよりは強く繋がれるため、オープンイノベーションを実践する方法として、ベンチャー投資が一番適していると考えられ始めている。 ノウハウ共有や協働を通じた事業展開に重きを置いているのも特徴の一つだが、欧米のCVCではキャピタルゲインをしっかり出すことも重視している。

CVCと独立系VCとの違い

CVCからの出資では、お金・経営支援・技術や顧客アセットの共有・大企業からのブランドと信用力を得ることができる。 しかしながら、一方で独立系VCと比べると、投資ステージがLaterよりである点、他のVCとの共同投資を好む点、高いバリエーションを望む点など、注意が必要である。 米国では独立系VCは先に述べたような成功報酬等のパフォーマンスに応じた給料体系を持つので、運用では一般的に勝負をかけた強気の投資傾向がある。 よって、初期ステージでの投資が望ましく、単独投資を好み、バリエーションも低めに設定する。 一方で、CVCはフラットな給料体系で働いている。 キャピタルゲインを生みその報酬を得ることよりも、失敗した時のリスクをおそれ、保守的な運用になりがちになる。

良いCVCインベスターとは?

  1. アクティブな投資をしているか
  2. 投資をアクティブに行っていないCVCとのミーティングは価値がない。 そういったCVCは最近の傾向や市場の動向に疎くなっている可能性が高いためだ。 直近の投資実績や、どういったプロセスで投資しているかなど、事前に確認したほうが良い。

  3. スタートアップを尊敬しているか
  4. スタートアップに敬意を払っているかどうかは大切である。 カルチャーフィットという意味では、大企業のほうが偉いというスタンスのCVCでは、組んだ後も搾取されてしまうかもしれない。見極めが重要だ。

  5. VCとしてのスキルとコネクションがあるか
  6. VCとしての経験や人脈ネットワークをもっているVCを選択するべきである。 経験の無いVCとのやりとりに費やす時間はスタートアップにはない。

  7. ビジネスに類似性はあるか
  8. CVCの親会社とスタートアップのやっている事業の関連性がないと、シナジーが生まれにくいため組む価値がない。 資金調達の際にストーリー性が大切になってくるという意味でもシナジーを意識した組み方をするべきである。

  9. 強いR&Dをもっているか
  10. 親会社の吸収力が強いかどうかと言い換えることもできる。 自社のR&Dを削ってCVCをやっているのではなく、これらは互いに補完しあうもので、R&Dを強化するためにCVCをやるのだ。 そのため、CVCが自分の製品のことをどれだけ分かってくれて、関連している事業の研究や開発にどれくらい力を入れているかは、スタートアップは意識して見たほうがいい。

  11. キャッシュポジションが高いか
  12. 経営が怪しくなった際にまず最初に削られるのがCVCのような投資事業である。 キャッシュがない会社は急にCVCを閉じたりすることがあるため、大きな会社であってもキャッシュリッチな会社のCVCを選択するべきである。


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