先週のMOVIDA SCHOOLは、通称えふしんさん、株式会社想創社 代表取締役、藤川真一さんでした。
藤川さんはガラケー用のtwitterクライアントの定番モバツイの開発者で、paperboy & co.にてカートサービスのカラメルなどを手がけたのち独立し、モバツイを専業に事業展開するマインドスコープを設立。
昨年jig.jpに同社を事業売却して想創社を設立し、shopcard.meというアプリを運営しながら、BASE(技術顧問)やツイキャス(チーフアーキテクト)などの支援を行っています。
今回は藤川さんに『「そうそう、それが欲しかったんだよ!」とユーザーに言わせるためのデザイン思考による製品開発』というテーマでお話して頂きました。

イノベーションとは

イノベーションとは今までにないモノやしくみ、プラットフォーム、アーキテクチャを作り、ビジネスに貢献することで4種類に分けられる。

  1. 継続的イノベーション
  2. 成功したビジネスモデルを進化させ、スケールメリットで利益を出すイノベーション。 大企業でよく見受けられるイノベーションで、マーケティングで適切な市場をみつける。

  3. 破壊的イノベーション
  4. 低価格戦略、フリーミアムモデル、シンプルな製品によって、既存の市場のルールを変えてしまうようなイノベーションのことを指す。BASEやStores.jpが事例と言える

  5. 技術的イノベーション
  6. 卓越した技術を製品のコアに定義付け、技術力で新しいものを作る。 SmartNewsやGunosyのようなTechnology Orientedなサービスがこれに当たる。

  7. 創造的イノベーション
  8. 技術がコモディティ化した時代に、既存技術の組み合わせの中で、創造性を発揮して新製品を作る。 技術的な参入障壁が低い時代に起こりやすい。 現在はスマホ、Web標準、オープンソース、クラウド、DevOps、Arduino、3Dプリンター等ラピッドプロトタイプ製造技術のような技術が創造的イノベーションを支えているといえる。

イノベーションのサイクル

イノベーションサイクルは創造的→破壊的→持続的→技術的→創造的のような順でまわる。 まずは既存の組み合わせである創造的イノベーションによって新しいビジネスが生まれ、そこから破壊的なイノベーションの発生でユーザーや売上が伸びる。 その状態を持続させるために、改善や新技術が必要になり、技術的イノベーションが起こる。 そして時間の経過でその技術がコモディティ化・低価格化の道をたどり、創造的イノベーションが起こりやすい環境になる。 かつては新しい技術を生み出し、それに従った製品を市場に投入すれば、自然と売上がついてきた。 しかしながら、技術のコモディティ化で参入障壁が下がり、誰でも製品を作れるようになった現在では売れるモノを作るのは難しくなっている。 どうやって売れるものを作るか、これがデザイン思考が重宝される理由となっている。

デザイン思考(Design Thinking)とは?

デザイン思考はビジュアルデザインの手法ではなく、イノベーションを達成するための手法・考え方だ。 IDEOが提唱した今までにないものを作り出すための『広義のデザイン』をつかった問題解決手法である。 今までにないものを作りだす成功のシナリオとして、1)顧客は欲しい物が分からない、2)顧客が欲しい物を提供すれば、彼らはさも当たり前に存在していたかのように使い出す、という2点を意識しておこう。 やりたいことが即実装になっているのはまずありえない。 「自分が欲しいから作る」というのはデザイン思考的には危険で、自分のためのツールどまりになってしまい顧客の検証をせずに開発をしてしまうと、気づいた時には誰も使わないプロダクトが生まれてしまうからだ。 それまでに使ったリソースがすべて無駄になってしまうので、リソースが少なく、無駄な寄り道をしている暇はないスピードが命のスタートアップには致命傷になってしまう。

デザイン思考の6つのステップ

重要なのは全体の整合性がとれていることで、もしも、途中で整合性が取れなくなった場合は、この枠にハマる事だけにとらわれずに、哲学やビジョンをその都度書きなおして全体の整合が取れるようにする必要がある。

  1. 哲学・ビジョンの策定
  2. 哲学とビジョンをしっかり言語化する。
    哲学は、自分が抱く信念・ニーズのことを指し、自分が普段心から信じていることだ。

    『◯◯は◯◯であるべきだ』

    ビジョンは願望やウォンツを指しており、自分が何をしたいのかを端的に表すものだ。

    『私は、◯◯をしたい』

  3. 誰のためにつくるのか?
    • ステークホルダー(=利害関係者)の抽出
    • サービスによって様々な利害関係者が存在するが、それらを沢山書き出す必要がある。

    • 技術の実現性の確認
    • どういった技術で実現可能になるか。 このプロセスは自分たちができるもので満足しないために必要だ。 また、技術の組み合わせ可能性の幅をどれだけ広くすることができるかが肝になる。

  4. 使ってくれる人を発見する
  5. フィールドワークで、想定するユーザーの行動を観察する。
    その際、ユーザーに弟子入りするが如く、ユーザーとの信頼関係をとることが大切。
    同じ目線で共感し合い、行動や存在をリスペクトして観察しよう。
    また、質問や関連する行動を事実としてまとめ、他の人が読んでも理解できるように言語化まで行うべきだ。
    フィールドワークとワークモデル分析によって、デザインの中で何を考慮するべきか、どんな役割があり、どのようにインタラクトするのかについて、物理的・文化的な制約や影響を理解しチーム全員で共有することで対象となる人の身体性を記録分析できる。

    1. フローモデル
    2. 1つの仕事を複数人の人がどう調整しているかを定義

    3. シークエンスモデル
    4. 特定の人に注目して、どう行動していたかを示す

    5. アーティファクトモデル
    6. 現場で使っていたものを書き留め、どう思っているかを表す

    7. 文化モデル
    8. その行動は誰にどう影響を与えているかを図示する

    9. 物理モデル
    10. 実際の現場の状況を図示する

  6. メンタルモデルの構築 / ターゲットペルソナの設定
    • メンタルモデル
    • 人間が世界の中で起こるイベントを理解したり、予測したりするために作る内面的なモデルである。
      価値のある行動を発見するために必要だ。
      例えば、友達が集まったら集合写真を撮り、参加者と共有するだろう。
      つまり、見たこともないサービスであっても、すぐに『こう使いたい』と思わせられるかどうかがサービス成功の鍵になる。

    • ターゲットペルソナ
    • メンタルモデルを実行する人を指す。
      紙とペンで絵を描くなどをして、より具体的により創造的にイメージしよう。

  7. アイディア、プロトタイプ、ユーザーシナリオ作成
    • コンセプト作成
    • メンタルモデル、ビジョン、哲学を実現するアイディアを出していこう。
      色気のあるアイディアを作り、技術と組み合わせ、作るものの設計図(コンセプト)を作っていく。
      ビジョンなしで色気のあるものを作ってしまうと、話題性が先行するだけのサービスになり、持続性が失われてしまうので注意が必要だ。
      また、ビジョンや哲学はコンセプトに内包されているが、イコールではない。
      つまり、ビジョンや哲学がしっかりと存在するのであれば、コンセプトは変わっても構わないのだ。
      これが、ピボットである。
      軸がなかったらピボットではなく、それはジャンプである。

    • プロトタイプ作成
    • 定まったコンセプトを検証するためにプロトタイプを作る。
      その際には、様々な疑問が浮かぶことが重要で、疑問を解決するために、小さくイテレーションを回し、すばやく考えながら作らなくてはならない。
      ビジョン・哲学、メンタルモデルの理解、コンセプト、技術力、生産力などがチームに求められるので、外注はありえない。

    • ユーザーシナリオ作成
    • スケッチを元に、サービスの使われるシーンを演技する。
      サービスが成功するには、心地の良いユーザー体験が必須。
      ユーザーが実際にどういう使い方をするのか、絵に書いた餅が正しいのかどうかを検証するために、コンセプトの妥当性の確認、コンセプトのそぎ落としを図りながら、ビデオスケッチをしてみよう。

  8. 詳細設計(フレームワークの構築)
  9. コンセプトを詳細実装に結び付けるプロセスだ。
    アウトプットはいわゆる画面設計書、詳細設計になる。
    ビジョンや哲学が適切に反映され、プロが仕事できる状態になる。
    実装フェーズで哲学、ビジョンがネジ曲がらないように注意が必要で、普段当たり前のように用いているであろう上記の書類はこのプロセスでやっと作成される。
    すぐにこの書類作成にとりかかっているのであれば、それは創造的イノベーションではなく、継続的イノベーションだろう。

藤川さんから紹介された参考書籍

  • デザイン思考の道具箱
  • デザイン思考、経営戦略

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