先週のMOVIDA SCHOOLは、ITジャーナリストの林信行(@nobi)さんでした。
林さんは90年代からITジャーナリストとして活躍、日本のみならず海外においてもその取材活動に基づく記事は評価されています。
林さんに『未来をつくるスタートアップが考えるべきこと』というテーマでお話いただきました。
3つのデジタル革命
現在は3つのデジタル革命が同時に起きている。
- Smart Tech
- Social Tech
- 3D Tech
スマートフォンやタブレットといったスマートデバイスがもたらすSmart Techによる革命。
世界人口70億人中ネット人口は現在20億人であるが、これが2015年までに東南アジアを中心にさらに5億人増加すると予想されているが、そのほとんどがスマホユーザーと予想されている。
Smart Tech革命は十数億人に新習慣をもたらすもので、これはある種の産業革命だ。
我々がモーターが発明される以前の時代を想像できないのと同様に、我々の子供達はスマホ登場以前を想像できなくなる。
SNSなどのSocialサービスがもたらすSocial Techによる革命。
たった一人の人間が大きな影響を与えられるようになった。
例えばホワイトハウスではWe the Peopleと言うネット目安箱を作って一般から様々な要望を受け付け、一定上の評価を受けている要望についてはその対応を確約している。
Social Techがリアルな社会、生活、仕事を変える触媒になっている。
3Dプリンターがもたらす3D Techによる革命。
内側と外側の構造が同時に作成可能になり、今まで再現できなかったものが簡単に作れるようになった。
体を3Dスキャンし自分専用の水着を作ったり、人間の骨の構造を用いた鉄より軽く強度が鉄筋の1万倍の材質が作られたりしている。
3Dプリンターの究極は自分の臓器で、再生医療にも活用され始めている。
3D Techは、身の回りにあるすべてをゆっくりと変えてきている。
これらの3つのデジタルテクノロジーによる革命により行きつく先はリアルだと思う。
“Beyond Screen”、すなわちディスプレイの外側に主戦場は移ってきている。
スマホで家電をコントロールできたり、スマホ連動おもちゃが世界的に普及してきている。
また、義手や義足などの福祉にもスマホと3Dプリンタの技術が導入され、彼らの生活習慣に大きな変化を与えている。
リアルに存在している物と組み合わさることで、新たな価値を生み出すようなものが増えている。
長期的 vs. 短期的
短期的な利益と成功を目指すのか、あるいは長期にわたって大勢に影響を与えるようなものを作るのか?
自分の作ったもので世界の風景が変わるようなものを生み出して欲しい。
これまでに例で挙げているような後戻り不可能なプロダクトだ。
世の中の流れはいくつかの層に分かれていて、nature→culture→governance→infrastructure→commerce→fashion。
natureは不変だが、fashionは変化のスピードが速く、乱気流のように移り行く。
世の中のトレンドに振り回されてやるのではなく、連続性をもって何かを追求してみるのも良い。
Think Simple
人は往々にしてダメな理由を考えたりし回り道をしてしまうが、物事はシンプルに考えるべきだ。
ジョブズの言葉に以下のものがある。
シンプルであることは複雑であるより難しい。物事をシンプルにするためには、懸命に努力して思考を明瞭にしなければならいからだ。だが、それだけの価値はある。なぜなら、ひとたびそこに到達できれば、山をも動かせるからだ。
ジョブズが具体的に行ったことを例に挙げる
- 製品そのものをシンプルに
- ラインアップもシンプルに
- 組織もシンプルに
原型を突き詰めるとデファクトスタンダードになる。
手書きで簡単な絵を書くだけでiPhoneと判断できるのはそのためだ。
おもちゃにはめ込んだり、飛行機のシートディスプレイに採用されるのもシンプルだから汎用性が効くからだ。
自社製品のラインアップを全て把握できていない企業は多いが、アップルでは一個のテーブルに収まるようにラインアップを絞っている。
トップが全製品を把握できる量におさめることが大切だ。
たくさんのラインナップがあることによってコストダウンが難しかったり、そもそも何が間違っているかの要因特定が難しかったり、注力するべきポイントを見つけにくくなる。
何より買う側も迷う。
スペックシートにしたがってHWチーム、SWチームやMarketingチームがバラバラに開発に携わるのではなく、DRIと呼ばれる企画から製品の販売まで全てを監督する役を設け、HWチームやSWチームから優秀な人材を引っ張ってきてチームを組成する。
プラスではなくマイナス
技術中心にプロダクト開発をしてしまい、あらゆる機能を詰め込んでしまうことは起こりがちである。
シンプルにするというのはプラスしていくのではなく、マイナスにしていく作業だ。
本質まで削ぎ落とすことでメッセージやビジョンはより伝わりやすくなる。
まずVisionがあり、それをDesignに落とし込みEngineeringで解決するのだ。
ジョブズはこれに関して以下のようなことを言っている。
まず浮かぶアイディアはまだ非常に複雑だが、多くの人はそこで止まってしまう。その後もとりくみを続け、タマネギの皮をもう数枚剥がしていくと、非常にエレガントでシンプルな解決方法にたどりつくことがある。多くの人は、そこにたどり着くまでの時間とエネルギーを費やしていない。
本質を説明する
What→How→WhyではなくWhy→How→Whatで説明する。
『我が社の新製品iMacを(What)、簡単でエレガントなデザインで差別化したので(How)、一台いかがですか?(Why)』ではなく、『我々は人々の暮らしに変化をもたらすためにやっている(Why)、簡単かつエレガントなデザインの製品を通して(How)、そうやって出来たのがiMacだ(What)。』といった発想に変えると、共感を生みやすくなる。
MOVIDA JAPAN株式会社では、世の中を変えるようなサービスを作るスタートアップを支援しています。
MOVIDA SCHOOLに参加したいという方は是非アプリケーションからコンタクトしてください!
↓↓詳しくはこちら↓↓
http://www.movidainc.com/programs/contact.php
14.03.12 の バズり | koetana
[…] シンプルであることは複雑であるより難しい | itokenv.com @itokenvさんから […]