先週のs.schoolは元イー・アクセス/イー・モバイルのCFOで現在はJTOWERを創業した田中さんでした。
田中さんは幼少期から学生まで香港・マレーシア・英国等々海外で過ごし、海外の大学在学時にゴールドマン・サックスにインターンシップで入り、そのまま就職、通信アナリストとして後にイー・アクセスを共同創業するエリック・ガンさんのもとでキャリアをスタートしています。
イー・アクセス/イー・モバイル及び現在のJTOWERの創業経験についてお話頂きました。

イー・アクセス/イー・モバイルでの資金調達

通信アナリスト時代に米国のADSL事業者を視察に行った時にCOVADという会社が設立1年で上場していた。
既に6000億の時価総額をつけていて、この事業が行けると思いDDIの創業者であった千本さんとエリックと一緒に起業した。

当時の資金調達だがネットバブル、9.11テロ、リーマンショック、3.11関東大震災など金融にも影響があるような事件があったとき全て実は資金調達をやっているタイミングにヒットした。
結果的には集まったが、集まりにくい状況を乗り越えるという苦労をした。
この時をふくめて13年間の経験の中で思うこととして、如何に平時のときに金融機関の人といい関係を作っておくかというのが大事で、その関係があるからこそ出来た調達もあった。

事業を進めていく上で大事なことは、まず走るということ。
走りながらリスクに対処する。
壁にぶつかるということは動いていることの証。
今の会社でも言っていることだが、壁に当たることは物事が進んでいることの証なのだからプラスであると思う。

上場について

今振り返ってみて思うこと。
一つの目標にすることは悪くない。
理由は1)資金調達が多様化できる、2)優秀人材の確保、3)会社の規律を正すきっかけ、4)既存株主のEXIT機会の創出できる、から。

一方で目的や規模の中途半端な上場は微妙だと思う。
事業の安定度・成長がなければ株価向上は見込めないし、流動性が低いと有力な機関投資家は買ってくれないわけで果たして上場する必要があるのか。
機関投資家の信用を取り戻すのには期間を要するから、きちんと何で上場する必要があるかを見極めないと、結果的に信用を失ってしまって上場している意味がなくなってしまうこともあるのではないか。

スタートアップのコーポレートファイナンス

金融機関との関係値づくりは大事で、スタートアップであってもうまくDebtファイナンスを使えると思う。
今の会社ではまだ借り入れていないが、イー・アクセス/イー・モバイルの時は4000億円くらいDebtで調達していて、これが可能になったのも借りる前からコミュニケーションしてたから。

現在の事業について

イー・モバイル時代に感じていたインフラシェアリングのニーズを事業化している。
通信業界の無駄をなくすサービスで、従来は屋内の対策をキャリア各社がそれぞれに設備投資しているところを共用装置を1回の工事で設置、この装置への接続をキャリアに提供している。

昨年、産業革新機構等から10億円を調達したが、その時の会社は設立して1年、社員5名、オフィスは間借り、売上実績なし、製品プロトタイプなしという状況であった。
準備として事業計画書、財務計画書、各種シュミレーション、資本政策、バリュエーション分析、IRR計算、想定問答を揃えて資金調達を行なった。
製品が開発できる根拠、潜在取引先との具体的対話状況の実態、各売上・費用項目の前提根拠を投資家にきちんと説明することで、サービス開始前での資金調達を実現した。
投資家についてはピンポイントに担当者の本気度が強いところを狙い、投資リスクを軽減するスキームを提案したことが実現できたポイントと思う。

重要だと考える資金調達の要素

  1. 平時における金融機関との関係構築
    担当者に自分の首をかけてでも投資委員会を通す覚悟を持ってもらう。
  2. ビジネスモデルとその根拠
    何もなくても「できる」根拠を示す。
  3. 調達する労力
    1億調達するのも1000億調達するのも同じ労力と準備が必要。
  4. 株式以外の資金調達手段を検討する
    銀行借入や事業からのキャッシュフロー他。

まとめ

株主から調達した資金はリスクマネーと考えず、銀行借入と同様にリターンを返すスタンスを忘れない。
常に資金調達がこんなになる前提においてバックアッププランを検討する。
会社売却によるEXITは考えない。
資金調達の金額規模は、それに見合う事業であるか否か次第。