さて、またまた前回から間が空いてしまったのですが、久々のブログ更新です。

前回のエントリーでConvertible Notesの話を書き、その中でシリコンバレーでは優先株での調達が一般的であるということも書きました。

では、優先株が使われる理由についても少し書いておこうかなと思うのですが、その前段としてのお話です。

起業のファイナンス」の磯崎さんと話したときに伺い、その後も色々と彼のメルマガや記事などでも紹介されていたのですが、経済産業省から「未上場企業が発行する種類株式に関する研究会報告書」というレポートが出ています。

非常に参考になった内容で、読んでもらえれば済んじゃう話なんですが(笑)、僕なりの理解も加えながら書いてみたいと思います。
(当然に異論、反論あると思うので、ご意見はどしどし頂ければと。こういうのって議論したほうが前に進むと思うし、見えていない問題点を指摘されるのは良いことだと思うので。)

※ 以下、図表は注釈がない限り、すべて上記の「未上場企業が発行する種類株式に関する研究会報告書」からの引用です。

エコシステムの構築には”投資家”にとっての”Exit”イベントは重要

一旦、少し話が横道にそれるのですが、MOVIDAで僕達が目指しているのは「シリコンバレー型エコシステムを作る」ということで、まずは裾野を広げる創業支援に取り組んでいます。

エコシステムというのはよく肥沃な土壌と森の話で説明している(よく下の図を使ってます。)のですが循環型のもので、創りだすところだけでなく、健全なサイクルを生み出すための”Exit”も大事だと考えています。

毎度おなじみのエコシステムの図

毎度おなじみのエコシステムの図

“Exit”という言葉は本来起業家にとっては関係ないというか、事業は終わることなく続いていくGoing Concernなわけで、これは起業家ではなく投資家にとってのイベントです。

とはいえ、出資をうけるというのは、外部資金を受け入れて、一気に加速させるという経営判断をしたという意味ですので、全く関係ないとも言えないわけです。

さて、投資家にとって”Exit”はIPOやM&Aによって実現されるわけですが、これによって得られたキャピタルゲインはまた新しいスタートアップに投資されることによって好循環が生み出されることになります。

スタートアップの従業員もストックオプション等で富を手にすることにより、新たにスタートアップを始めたり、あるいはエンジェル投資として支援側に回るなどいったことも発生していきます。

正のスパイラルが起こらないことにはエコシステムになるというのは難しいわけです。

“Exit”イベントを増やしていくことも、というわけで目指していかないといけない訳ですが、こればっかりは裾野を広げる(数を増やす)のとは訳が違って、必ずしもコントロール出来るものではないので、少なくとも増えやすい仕組み・仕掛けをしていくこととではないかなと思っています。
(まあ、それが優先株を使ったほうがいいという話につながるんですが。)

現状のExit環境はどうなってるの?

こちらに関しては冒頭の報告書の中に非常に面白いグラフがあります。
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上は米国におけるベンチャー企業のExitをIPOとM&Aの比率をグラフ化したものです。

一目見て分かる通り、30年前は米国においても”Exit”といえばほぼ100%がIPOだったわけですが、今では完全に逆転してほぼ100%がM&Aになっています。
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過去数年分しかないのですが、上の図が日米のIPO件数についてまとめたもので、リーマンショックでの落ち込みはあるもののIPO件数が減少したというよりは、M&Aの件数が増え続けているということだと思います。

古くはOracleやSun、CISCOなど、最近ではGoogleを筆頭に未上場時点でもFacebookやZyngaも買収に積極的でした。

過去30年の間にシリコンバレーにおいては若きベンチャー企業が大きく成長する過程において、積極的に買収を活用することによって成長するというやり方をとっているということの証左だと思うわけです。

Facebookは実は非常に買収が上手で、FriendFeedは今のニュースフィードの素であり、FriendFeed創業者のBret Taylorは今やFacebookのCTOです。

また昨年買収したBelugaもその後のFacebookメッセンジャーとなって、Facebookの基幹をなすサービスになっています。

数多くのスタートアップが誕生するシリコンバレーにおいてもIPOまで到達するのは簡単ではないので、買収によるExitも上記の例では自分たちよりも例えば大きなユーザーを抱えるサービスと一緒になることによって、更なる高みを目指していくことも出来るという事例だと思います。

翻って日本の状況はどうか?というと、上記の図のとおりIPO件数もリーマンショック以降、まだ回復していないというのがデータですが、昨年から少しずつ増えてきているし、準備しているという話もちらほら聞えてくるので、戻ってくるのでしょう。
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一方で買収がどうなのか?というのが上の図の緑色の部分なんですが、ほとんど増えていないという統計データになっています。

これには様々な理由があると思いますが、ここ数年積極的な買い手がいなかったというのが一番大きな理由かもしれません。

ただこちらについては上場をした企業が今後は積極的に買い手に回るだろうなという気がしているので、これから上場する人たちも含めて買い手不足の問題は解消されていくことと思います。

もう一つ大きな理由として売り手と買い手で条件面で買収が成立しないというケースが結構な件数あったのではないかと思います。

IPOにしても巨額の買収にしても、そういうのはまず間違いなくすごーく上手く行ったケースなわけです。

あんまり上手く行ってないケースでも、大きな会社と一緒になることによって大きく成長を見込めるケースというのもあるはずですが、そういったときに普通株によるファイナンスが理由で買収が成立しないというケースが少なからず起こっていたのではないかと。

成立したのでよかったけど、というような買収案件もちらほらある気がします。

投入した資金より高い評価額で売れるのであれば、それはアリの話になるはずですが、リターンの分配は普通株だけのファイナンスではなかなかフェアに分配出来ないのです。

米国のM&A件数が増えてきている理由はこういったケースでも”Exit”することで、投資家は資金を回収・リターンを得て、起業家は次のステップとしてシリアルアントレプレナーとなる、ということが正のスパイラルに貢献しているのではと思います。

ちょっと長くなってきたのと、書くネタを2回に分けるため(笑)に今回はこのへんで。

まずは前段としてのおはなしでした。


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