とある人の紹介で「グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ」という本を読んだのですが、非常に実用的なマーケティングの本で、スタートアップの人たちにも読んでほしいなと思ったので紹介します。

グレイトフル・デッドというのはご存じない方のほうが多いのではないかと(僕も知りませんでした)思うのですが、ビートルズやローリング・ストーンズと同じくらい歴史のあるバンドで60年代から活躍していたそうです。

彼らがユニークなのは、(最近ようやく変わりつつある)音楽業界のメインビジネスで60年代当時には主流であったレコードの販売ではなく、ライブに来てもらうことを収益にしていたということです。

具体的には「フリー」や「シェア」といった概念がない頃から、グレイトフル・デッドは自分たちのライブを観客が録音することを許し、更にはそれを共有すること奨励していました。

彼らはこのやり方によりグレイトフル・デッドのファン、デッドヘッドと呼ばれているのですが、を増やし続けることに成功し、リーダーのジェリー・ガルシア亡き後「ザ・デッド」と名前を変えて活動している現在も増え続けています。

彼らの活動は何故成功したのか?についてをこの本では解説していて、翻訳本を出すのに関わった糸井重里さんは紹介文の中で次のように書いています。

この本は「もしドラ」に負けないくらいの「実用書」です。
ピーター・ドラッカーのいちばん重要な言葉のひとつは、「顧客の創造」です。
今はないけれど、できたらみんながよろこんでしまう商品やサービスを開発して、新しい市場を創る。そんな「顧客の創造」の真髄が、グレイトフル・デッドの「仕事」でした。
しかも。この本には、ドラッカーの本には書いていない、とても重要なポイントがあります。それ、彼らがアーティストであるからこそ気づいたことかもしれません。
常に人に「見られている」ということが、いかに仕事に効果をもたらすか。
このことです。
とうてい実現するとは思えない事業計画を立てたとしましょう。
99%失敗する。
でも、誰かに「見られている」ことで、1%の可能性に賭けてみよう、という意欲がわいてくる。
するとそこから「物語」が立ち上がる。
人間は物語の上で生きていきます。共感を呼ぶ物語が「見られている」ことで生まれたら、1%の可能性が2%になるかもしれない。
それが「見られている」効果です。

マーケティングの本なのですが、上記の紹介文の通りスタートアップにとっても大事なことが書かれています。

ここでは5つのポイントについて紹介したいと思います。

1. ユニークなビジネスモデルをつくろう

上でも書いたようにグレイトフル・デッドは当時活躍していた全ての他のロックバンドと正反対のやり方で利益をあげていました。

当時のロックバンドはレコードをたくさん売るため、つまり宣伝目的でライブツアーを行っていましたのですが、グレイトフル・デッドはそれとは逆にライブ体験をファンに提供することに注力していたのです。

そのためライブは毎日演奏する曲も違えばアレンジも違うというように、毎日来ても楽しいものになるようにしていたそうです。

今でこそ、マドンナなどはライブ中心の活動で、アルバムの販売よりもライブからの収益を中心にしていますが、50年近く前からグレイトフル・デッドは常識とは逆のやり方でファンを獲得し、収益を挙げていたのには驚きました。

グレイトフル・デッドのライブ中心の活動は大成功して、熱狂的なファンを獲得しました。

このことは、ビジネスモデルの革新が、製品の革新と同じかそれ以上に重要であることを教えてくれていると書かれています。

オリジナルなビジネスモデルを考えつくのは難しいですが、人の真似だけをやっていてもなかなか勝ち抜くのは難しいので、自分の得意な土俵を作ってしまうという発想はスタートアップにとっても重要だと思います。

2. バラエティに富んだチームを作ろう

グレイトフル・デッドのメンバーは非常にユニークで異なる音楽経験を積んだメンバーが集まっていました。

例えば、ベーシストのフィル・レッシュは最初ジャズのトランペット奏者で、グレイトフル・デッドに加わった後にベースを始めています。

実践でベースギターの演奏を身に付けていき、経験がなかったがゆえに先入観にとらわれず、グレイトフル・デッドの独自のサウンドを作り上げる上で需要な役割を果たしたそうです。

その他にも元はリズム&ブルースのディスクジョッキーをやっていたり、アコースティックのピアノ奏者をやっていたメンバーが加わったりしています。

ロックバンドはメンバーが抜けたときには、バンドのサウンドに近くてすぐに馴染めそうな人をさがすものですが、グレイトフル・デッドは幅広い経歴を持つミュージシャンが集まっていました。

グレイトフル・デッドは、バラエティに富んだスキルを組み合わせた相乗効果で、前代未聞の1+1=3のサウンドを作り上げたと書かれています。

スタートアップにおいても多様な経験をもったメンバーを集めることが重要なことは言うまでもないですが、ベースの経験なしから音楽業界で影響力のあるベーシストの1人になったフィル・レッシュのように、創業初期のメンバーは自分の持ち場以外のことも担当しながら成長し続けることに貪欲な人たちであることが重要だと思います。

3. 「実験」を繰り返す

グレイトフル・デッドは全部で2300回以上のライブを行ったそうですが、即興による演奏スタイルをとっていたためそれぞれが全く違う内容になっていました。

即興といえばジャズもそうですが、ジャズの場合はまずひとりがリフというテーマとなる音型を決めて、別のメンバーがそれを受けて発展させてゆくものである一方で、グレイトフル・デッドの即興はメンバーそれぞれが即興しながら同時に演奏するという非常に音楽的には高度なものだったそうです。

即興演奏以外にも、メンバーはライブでしょっちゅう違う楽器を試していたので、毎回ライブの内容は違うものになったが、その分数多くの失敗もしていました。

但し、失敗をしたとしても保守的にならず常に新しい試みを繰り返し、挑戦し続けながら、失敗から学んでいたのです。

グレイトフル・デッドは、リスクを取り、新しいことに挑み、失敗と成功から学び、前進し続けることを教えてくれると書かれています。

最近流行りのLean Startupでも、仮説を立てて検証方法を考えて実際に実験し、結果からフィードバックを得て改善を繰り返すことを奨励していますが、スタートアップに必要なのもこの失敗から学ぶということなのだと思います。

4. 最前列の席はファンにあげよう

今も昔もライブのチケットで良い席をとることは難しく、電子化されてしまった現在ではそのバンドの本当のファンの人が最前列の席を取るのはほとんど無理になってしまっています。

グレイトフル・デッドは、独自のチケット販売システムを持っており、ファンの間でクチコミで伝えられた電話番号にかけて入手するチケット購入方法に基づき、郵便為替と申込書を郵送するとチケットが送られてくるそうです。

ファンだけが知ってるこのシステムにだけ一番良い席を用意しているので、本当のファンだけが最前列の一番良い席を入手できるチャンスが有る仕組みになっています。

定期購買型の商品などでは、新規獲得に費用が使われるため、継続しているファンの人がお金を払い続けている一方で、新規の人たちはお金を払わずに商品を入手できていたりということが起こっていますが、よく考えるとこういうことは道理にかなっているとは言えません。

配慮と敬意を持って顧客や消費者に接することこそ、情熱的なファン層を築く秘訣だと書かれています。

スタートアップにとっても、初期の情熱的なユーザーを獲得することと、そのユーザーとの関係を構築することは非常に大事です。

最初に使ってくれるアーリーアダプターこそが、次の熱狂的なファンとなってくる人を連れてきてくれるからです。

5. 自分が本当に好きなことをやろう

この本を書くために著者は過去のグレイトフル・デッドの映像をかなり見たらしいのですが、どの映像に置いても特にリーダーのジェリー・ガルシアが常に幸せそうな顔をしていたそうです。

兎に角好きなことをやり続けていること、その情熱が最終的には成功に貢献することになったわけです。

「仕事」と「遊び」は本質的に相反するものであると教わるわけですが、これは本当は正しくなくて、自分が情熱を傾けられないような「職業」落ち着いてしまったりするが、本当に好きなことをやっているほうが素晴らしい仕事をする可能性がはるかに高いので、そのほうがずっと上手くいくはずであると。

成功の確率が高くなるだけでなく、ずっと大きな幸福感も得られるでしょう、好きなことだけをやっているのだから。

グレイトフル・デッドは、他人の夢ではなく、自分自身の夢を生きることを教えてくれると書かれています。

スタートアップをやろうというような人に改めてこのようなことを言うまでもないとは思うのですが、やはり「好きに生きる」ということは成功に不可欠な要素だと思います。

上に挙げた5つのポイント以外にも、スタートアップにとって示唆のある内容、例えば名前に関する話や、ファンの増やし方・接し方の話などなど、が他にも盛り沢山でした。

一度読んでみることを是非おすすめします。


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