ブログを書き始めてすぐの頃にエコシステムを作りたいということを書きました。
ベンチャーエコシステムを作るというのは僕らだけでどうにかなる話ではなく、スタートアップに関わる人たち全てが作用しあって出来るものなので、自分たちにとって短期的に利得があるやり方ではなく、中長期の視点を持って取り組まなければいけないと考えていて、僕らのビジョンとしては20年の計でやっています。
通常の事業の起ち上げと同じく、ビジョンに対してAs Is(今ある姿)とTo Be(なりたい姿)を考えて進めていくわけですが、エコシステムは先行しているシリコンバレーの上手くいっているところをTo Beとして具体的な数値目標に落とすべきかなと思い、ベンチマークとなる数字を調べてみました。

創業件数と投資件数・金額

全米の数字とシリコンバレーの数字が混ざりますが、目指すべき数字を見つけていくというところでは別に気にしなくて良いと思います。
まずは起業件数と廃業件数ですが、Silicon Valley Index 2012に紹介されていた数字が1995年〜2010年までの平均値として17,300社/年の創業と12,800社/年の廃業という数字です。
最新版がないかな?と思って見に行って見たら、なんと2010年は46,400社の創業があったそうです。
(その前年はリーマンショックの影響で46,800社の廃業だったみたいですが…)
平均して年間4000〜5000社の創業がシリコンバレーだけであるわけですから、新規事業が”千三つ”の確率だとしても年間で10〜20件の”イケテル”案件がシリコンバレーだけでも生まれている可能性があるというのが、GoogleやFacebookなどのメガベンチャーが生まれる理由の一つだと思います。
New Establishment in SV
このうちどれくらいの件数がVCからの投資を受けているか?ですが、NVCA YearbookのSeed StageへのVC投資のデータがあったのでグラフにしました。
Seed Stage Investment
過去10年の平均では約350件/年で総額$1.2B/年で1件あたり$3.3Mくらい投資されています。
Seed Stageにしてはやけに大きいなということで、Appendixを見ていたらProductやServiceを開発している段階という定義らしいので、初回ラウンドとなるSeries Aはこちらに入ってるのかもしれません。

Seed stage – the state of a company when it has just been incorporated and its founders are developing their product or service.

Early stage – the state of a company after the seed (formation) stage but before middle stage (generating revenues). Typically, a company in early stage will have a core management team and a proven concept or product, but no positive cash flow.

Expansion stage – the stage of a company characterized by a complete management team and a substantial increase in revenues.

Later stage – the state of a company that has proven its concept, achieved significant revenues compared to its competition, and is approaching cash flow break even or positive net income. Typically, a later stage company is about 6 to 12 months away from a liquidity event such as an IPO or buyout. The rate of return for venture capitalists that invest in later stage, less risky ventures is lower than in earlier stage ventures.

エンジェルやアクセラレーターによる投資も次回ラウンドで株に転換されるまではカウントされないみたいなので、実際に初期の投資を受けている会社はもっとありそうです。

Angel, incubator and similar investments are considered pre-venture financing if the company has received no prior qualifying venture capital investment and are not included in the MoneyTree™ results. Angel, incubator and similar investments that are part of a qualifying venture capital round or follow a qualifying venture capital round are included to the extent that such investments can be fully verified as meeting all other criteria (e.g. cash for equity, not buyout or services in kind).

ちなみに、全てのステージでどれくらいかというのもまとめて作ってみました。
VC investment in US
これを見ると、過去10年では平均3,500件/年の案件に総額$24B/年の金額が投資されているということが分かります。
日本の創業に関するデータはあまり良いまとめがなかったのですが、VECが出しているレポートがありました。
VC Investment in JP
6年間の平均で1,600件/年に総額1,600億円/年の投資ということのようです。
単純比較はできないと思いますが、シリコンバレー地域だけであれだけの創業があるにも関わらず、年間で350件程度しかVCからの投資がSeed Stageではないというのは非常に厳しい競争環境にあるといえるんでしょう。
VC投資全体ということで比較すると年間の件数が約半分程度である一方、投資金額は1桁オーダーが違うということで、日本のほうがVCからの投資は得られやすいが、その金額規模は小さいということが言えそうです。

日米VC比較

米国で投資を行なっているVCは実際どれくらいの数いるのかというデータですが、
VC_Fund_Data1
約850社のVC firmが存在していて、キャピタリストも6000人超いるようですね。日本はこちらの協会に加盟している数で50件くらいですが、加盟していないVCも結構ありそうなので実際には100社くらいはあるのかもです。
実際に米国でActiveに活動しているVCの数をグラフ化してみました。
Number of Active Funds
1995年くらいから急激に増えて1000社を超えたけど、今は500社程度になっています。先程の850社と比較すると300社くらいは休眠状態なのかもしれないですね。
インターネット普及しはじめたネットバブル期に一気に増えて、そのときに色んなことが起きたのが結果としてエコシステムとなったようにも感じます。
日本のデータがあまり見つからないのですがVECのデータがあったので、米国も同じ数字を引っ張り出してグラフにしてみました。
VC DATA in JAPANFunds Stats
日本のVC Fundには米国の10分の1以下の資金しか入ってきていないという状況であることがわかります。
ひょっとしたら、これが1社あたりの投資金額が小さくなっている原因になっているのかもしれません。
日本もいきなりこれだけの規模にすれば良いという話ではもちろんないと思いますが、せめて半分の規模程度を目指すべきと思います。
(あまり短期間にお金が流れこむとバブルになってしまいますが、シリコンバレーもバブルの結果として厚みのあるエコシステムになったやもしれず、そのあたりを経験すべきなのかもですね。バブルなしで厚みのあるエコシステムができないのかもなので。)

VC投資のEXIT

お金の流れの出口となる部分の話ですが、IPOとM&Aでこのようなデータになっています。
Venture Backed IPOs
Venture Backed M&A
どちらかというとIPOは減少傾向でM&Aが増えてきているのですが、これはSOX法の影響もあるのかもしれません。
日米のIPO件数について比較してみると、
Number of All IPOs
上場の件数そのものは米国とさほど差がなく、むしろ考えてみると多いくらいかもしれず、まとめてあるデータが見つからなかったのですが、IPO時点のValuation等を調べれば日本は比較すると小さいときに上場しているということが言えるかもしれません。
ベンチャーを対象にした日本におけるM&A件数のデータも見つけることができなかったので、M&AというExitがなく全てIPOを目指さざるを得ないからIPO件数が多いのかもしれませんね。

色々調べてたら想像以上に長くなってしまったので、このあたりで一旦やめにしようw
かなり色んな図表を引っ張り出しましたが、創業件数17,000件、ベンチャーキャピタリスト数6000人、VC投資案件のM&A件数500件といった数字は日本とはかなりの差があるので、これらの数字はベンチマークすべきものだと思います。
どうやったら、こういう状況にできるのか?ということを日々考えているのですが、次回以降でそれについて書こうと思います。


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